釣られやすいバスの体型

 メディアやトーナメントを本業にしている人たちは、バスを見ただけで『このバス釣れそう! こいつは釣れない・・』っと長年の経験や直感でわかるものですが、バス釣りを始めたばかりの人や、「ちょろっとやったことがある!」程度の人には「釣りやすいバス」か「釣りにくいバス」かの判断はなかなか難しいと思います。

今回は実験から分かった「釣られやすいバスの体型」について書いていきます。

これは、2007年9月3日~10月1日にわたり長野県の中央水産研究所で行われた実験

実験に使ったバスは、溜池にいた18〜26.1センチのオオクチバス65尾であり、そのバスを、長さ40メートル、幅5.3メートルのコンクリート池に放流した。

池に放した際は、体長、体重を計測したのち、ヒレの数か所を切除することにより、個体識別ができるようにした。その後、9月11日から9月29日まで一日おきに釣りによる採捕を行った。

採捕は1名の釣り人が、9時から17時のうち6時間行った。釣り方は、ミミズ、スジエビを使った餌釣り、ピンクのゲーリーカットテール3.5インチを使ったルアー釣り、ウグイを使った泳がせ釣りで行った。

2日に1回、釣りを行わなかった日の夕方に、生きたウグイ65尾を実験池に放流し、バスが飢えないようにした。

結果としてバスは実験期間中に、のべ126回釣られた。

126回のうち、77回はウグイの泳がせ釣りによって釣られ、ついでスジエビ26回、ワーム16回、ミミズ7回の順であった。

実験期間を通して釣られた回数は、個体によって0〜8回と差が大きく、一度も釣られなかった個体が4個体認められた。

全体の傾向として釣りを続けることによる学習が認められても、個体によっては学習せずに何度も釣られる個体や、そもそも用心深いため一度も釣られない個体がいることは明らかである。「水産総合センター中央水産研究所調べ」

そしてここからが本題!

この実験期間中に8回も釣られた個体は、釣られる中で体重を減少させており「痩せており」、『釣られたストレスが著しく大きかったか、餌として与えたウグイを捕食することに成功しなかったと考えられる』・・・「そんなのあたりまえじゃん!」っと言われればそうなのですが、ここで私が普段ホームレイクとしている河口湖に当てはめて考察していきます。

河口湖は富士五湖の一つ。湧き水、富士山からの雪解け水が豊富で、比較的水質がよく、水が澄んでいて魚がよく見える湖です。

私が河口湖で釣りをする際は、魚が見えやすい湖の特徴を使い、魚を見ながら釣りをする「サイトフィッシング」を多用するのですが、この方法で釣った魚の7割位は、春などの繁殖行動時期や特殊な条件下を除いては、大概痩せている魚です。

現に河口湖のトーナメントにおいても、サイトフィッシングで釣られてくる魚の多くは、上記の条件以外であれば、大概痩せ気味です。

そして、痩せた魚は大概釣りやすいことが多いです。よく言われる理由としては「バスのお腹が空いてるから何でも食べちゃう」とか「痩せて動く力がないから目の前に落ちたルアーは食べやすいから」などといわれています。

たしかにそのような様々な理由はあると思いますが、実験結果にもとずいた理由を作るのであればこうです↓↓↓↓

『痩せた魚は釣られても、そもそも学習していない魚の場合が多く、釣られていく中でのストレスが魚体に蓄積し、本来、餌となるものが捕食できていないから』になります。

一方、実験期間中に、一度も釣られなかった4個体のうち3個体は、体重を増加「太った」させていました。先程説明した結果から分かるように、『このバスたちはそもそも頭がよく、偽物と本物の違いがわかるため、針の付いた餌やワームと、安全な本物の餌を見分けて口に運ぶことができ、体重を増加させ、一度も釣られなかった。』ことがわかります。

実際に上記の理由から、サイトフィッシングで太った魚を相手にする場合は結構難しかったりします。

今回この文章では、『痩せた魚は釣りやすい』『太った魚は釣りにくい』っと、いうような書き方をしましたが、全てがこの通りになることはなく、『痩せバスが天才』の場合もあるし、『太ったバスがおバカ』な場合もあります。本来絶対に釣られない魚が、ある条件が満たされれば釣れる魚に変わるし、誰がねらっても釣れる魚が釣れなくなったりもするので、あくまでも『実験ではこういう事がわかっていて、こういう傾向があるらしいよ!』っという感じで理解してください。